ごきげん美人さんをつくる薬膳の秘訣---薬膳の3つの原則を知ろう
薬膳学の概念として大事なものに”三因制宜”(さんいんせいぎ)という言葉があります。
これは、薬膳をするときに、3つのポイント(三因)を常に配慮して考えよう!ということ。
まずはこの3つの原則を知り、薬膳の知恵を借りてみましょう。
薬膳の3つの原則を知ろう
《時》太陽とともに生きる
ひとつ目のポイント、それは…”時”。時間や季節に合わせて考えるということです。
例えば1日の中でも、朝の体と夜の体は違う。
朝、睡眠から目を覚まして初めて食事を頂くのであれば、それは軽い断食状態を経て初めて口にする食事になります。
だから朝は、消化のいい温かくてやわらかいものがいいと言われます。
お昼はお昼で一番活動してる時間なのでしっかりめに食べる、とか。
一日の中でも、気をつけることが違ってきます。
それから、季節。
日本には四季があって、春夏秋冬、それぞれの影響を体は受けます。
冬であれば、寒さに備えられるもの食べるし
夏なら暑気あたりにならないように気をつける。
夏と冬では日の長さが違うので、夏は多少遅寝・早起きしてもOK
冬は早寝・遅起きで…と
季節によっても養生法は違ってきます。
また、その季節によってダメージを受けやすい”臓”(体の部位)があるので
その時々で、弱ってしまいがちな”臓”に効かせる食材を選ぶ。
これは難しそうに聞こえるけれど、とにかく”旬のものをいただくこと”に尽きます。
そのときに旬を迎える食材は、気候の影響で崩れやすいからだのバランスを整えてくれるものがすごく多い。
まさに、自然界からの贈り物、なんですよね。
太陽とともに生き季節を感じて過ごす。
三因制宜のポイントひとつ目は”時”。
《地》自然界とリズムを合わせて生きる
ふたつ目のポイントは…”地”。環境に合わせて考えるということです。
例えば住んでる場所が、寒い地域なのか、暑い地域なのか
乾燥してるのか、湿度の高い地域なのか
標高はどうなのか…
その地域や環境に合わせて食事も変わります。
というと、難しく感じるかもしれませんが、これは”その土地で採れたものをいただくこと”に尽きます。
その土地で採れたものというのはその土地で崩れやすいからだのバランスを整えてくれるものがすごく多い。
沖縄名産のゴーヤやさとうきびは体を冷やす力に優れるし、北海道でよく採れるかぼちゃや玉ねぎは体を温める力がある。これもやはり、自然界からの贈り物、なんですよね。
また、日本は他の国に比べて湿度の高い国です。湿度が高いと、胃腸の不調も増えやすい。
だけど、湿度が高いところだからこそ発達したものがあります。
例えば、麹(こうじ)。
麹は穀物につくカビですが、この力がお醤油、味噌、お酢、日本酒、お漬け物など、和食に欠かせない食品たちを作り出します。
これが、”日本の食文化は麹にあり”、と言われる所以です。
日本のお出汁に欠かせない鰹節も、鰹にカビをつけることで、鰹の水分や油分を吸い取って作られるものがあります。(枯節といいます)
動物性由来のものから取った出汁なのにあんなに澄み透った、油の浮かない出汁はすごく珍しいと思います。
そう、日本のお出汁は本当に胃腸に負担をかけないですよね。
湿度が高いと胃腸に負担はかかりやすいですが、その湿気の産物は、私たちの体に優しいものをもたらしてくれる。
私たちがもらっている自然の贈り物は数えだしたらきりがない。
その地に根ざした生活をする。自然界とからだはリンクする。
三因制宜のポイントふたつ目は”地”。
《人》ひとりひとりのライフスタイルに寄り添う
みっつ目のポイント、それは…”人”。個々の体に合わせて考えるということです。
これは生まれ持ったその人の体質、ということもですし、病後や妊婦、子ども、大人、高齢者の方…それぞれの状態に合わせることが大事です。
例えば一般的に、子どもは陰が不足し陽に傾きやすいと言われます。
簡単に言うと、”熱”が勝りやすいということ。なので、大人と同じように香辛料の効いたお料理や、温熱性に傾いた食事を摂ると、大人にはそれがよくても子どものからだには負担になってしまう可能性があるのです。
同じ年代の方であっても、同じものを食べておなかを壊す人もいれば壊さない人もいます。
”個人”に合わせるということがとても重要です。
その為には、まずは自分が自分のからだをしっかり知ることが大事。
意外と分かってないことも多いと思います。
どこが痛いのか、
どこがしんどいのか、
そもそも本当にしんどいのか…
まずは自分と向き合って自分のからだを知ること。
そして自分を大事にすことは食事を大事にすることにつながっていくのだと思います。
生きている人のライフスタイル(生き方)に寄り添って考える。
三因制宜のポイントみっつ目は”人”。
まとめ
いかがでしたか?
薬膳を始めるときの、最初のステップでもある3原則《時・地・人》
この3つのことを常に頭において献立を立てることができれば、それはもう薬膳のプロ。
太陽とともに生き、旬の食材をいただき、今暮らし土地に根ざしたリズムを大事にして
ひとりひとりの体質と向き合うこと。
そういったことを通して、「どういうものを食べて過ごしたら心地がいいのか」ということを探す旅が始まるような気がします。
薬膳に触れるということは、
自分にとっての”心地よさ”を探す旅、と捉えていいのかもしれませんね。